FXの解説記事や取引ツールを見ていると、「スリッページ」という言葉をよく目にしませんか?
「なんとなく知ってるけど、正直よくわからない」「勝手に損をするイメージがある」という方も多いのではないでしょうか。
実は、スリッページはFX取引において避けて通れないリスクの一つ。とくに短期トレードを行う場合は、利益にも損失にも直接影響してくる大事な要素です。
この記事では、スリッページの意味や仕組み、そしてそのリスクや対策方法について、初心者の方にもわかりやすく丁寧に解説します。
スリッページとは?
スリッページとは、注文を出したときの価格と、実際に取引が成立したときの価格がずれてしまうことをいいます。
たとえば、ドル円を「145.500円」で買おうと思って注文を出したのに、「145.520円」で約定してしまった場合、この0.02円(2pips)の差がスリッページです。
注文を出すタイミングと市場での約定のタイミングにズレが生じることで、思っていた価格とは違うレートで取引が成立してしまうのです。
スリッページが起こる主な原因
1. 市場の急変動(高ボラティリティ)
経済指標の発表時や大きなニュースがあった直後など、市場が急に動く場面では、価格が一瞬で上下に動くため、注文時と実際の価格にズレが生まれやすくなります。
2. 注文処理の遅延
インターネットの通信環境やFX会社のサーバー処理速度によっては、注文が市場に届くまでにタイムラグが生じ、価格が変動してしまうことがあります。
3. 流動性の低下
市場参加者が少ない早朝や週明け直後、祝日などは取引量が少なくなり、希望する価格で取引相手が見つかりにくくなります。このような場面でもスリッページが起きやすくなります。
スリッページのリスクと影響
1. 利益の目減り(エントリー時)
エントリー(新規注文)時にスリッページが発生し、意図していた価格より不利な位置で約定してしまうと、取引開始直後から含み損を抱えることになります。
特にスキャルピングやデイトレードのように、数pipsの値幅を狙うトレードでは、この差が命取りになることもあります。
2. 想定外の損失拡大(損切り時)
ストップロス(損切り)注文を設定していても、相場が急激に動くと、指定した損切価格を大きく飛び越えて約定してしまうことがあります。その結果、本来の想定よりも大きな損失を被るケースがあります。
3. トレード戦略の崩れやストレス
希望価格での約定がされないことで、エントリーや利確、損切りのタイミングが狂い、計画していた戦略が機能しなくなることもあります。思い通りにいかない取引が続くことで、心理的にも大きなストレスになるでしょう。
スリッページを減らすための実践的対策
● 指値注文を活用する
成行注文は「今すぐ約定させる」性質があるため、スリッページが発生しやすい傾向があります。
一方で指値注文を使えば、指定した価格でしか約定しないため、スリッページを防ぐことができます。
● スリッページ許容幅の設定を見直す
多くのFX業者では、スリッページの許容範囲を設定できます。
あまり広すぎると不利な約定が起きやすくなるので、取引スタイルに合わせて適切な値に設定しましょう。
● 約定力の高いFX業者を選ぶ
業者によっては、約定スピードやサーバー性能に大きな差があります。
スリッページが少ないと評判の業者を選ぶことで、安定した取引環境が得られます。
● 経済指標や相場変動の激しい時間帯を避ける
重要な経済指標の発表時や地政学リスクのニュース直後は、価格が激しく変動します。
このようなタイミングはスリッページが起きやすいため、初心者は無理にエントリーしないのも一つの手です。
まとめ:スリッページは少ないほど良い
スリッページはFXにおいて避けられないリスクの一つですが、できる限り少なく抑えることが大切です。とくに短期売買や高レバレッジ取引では、1pipsのズレが命取りになることもあります。
「スリッページは起きるもの」と割り切るのではなく、
- 業者選び
- 注文方法の工夫
- 取引タイミングの見極め
などを通して、スリッページをできるだけ発生させない工夫を意識しましょう。
安定したトレードのためには、「いかに思った通りの価格で約定させるか」がカギになります。スリッページ対策を怠らず、より有利な取引環境を整えていきましょう。

